年をとるとアイドルの顔の区別がつかなくなるのはなぜ?という話:チコちゃんに叱られる!【2020/07/31】

年をとるとアイドルのような若い人の顔の区別がつきにくくなる、という話がありました。

それは、例えば、外国人の顔の区別がつきにくいのと、同じような現象だという。

私たちが人の顔を区別するとき、目で見た全ての視覚情報は、脳の一番後ろにある「第一視覚野」という所へ送られる。

第一視覚野

そこから、人の顔に関する情報は、脳の一番下にある「紡錘状回」という場所に送られ、過去に見た顔なのかなど詳細に分析する。

この紡錘状回で起こっている「人種効果」という特殊な現象が、若い人の顔の区別がつかなくなるということに関して、非常に大きな関わりを持っている。

認知心理学でいう「人種効果」とは、自分と同じ人種の顔を他の人種の顔よりも早く正確に認識できる現象のこと。

日本人は小さいときから、日本人の顔を見て育つ。

その時、脳内の紡錘状回では、日本人の顔を基準とした顔の認識空間がつくられる。

顔の認識空間

例えば、生まれてから、日本人の家族と暮らし、普段の生活でも、日本人に接することが多い子どもの場合、顔の認識空間の中心には、日本人の顔が集まり、接点の少ない外国人の顔は外側に分布。

この時、中心に近い顔ほど、正確に素早く認識することができる。

ところが、中心から遠いと判断が雑になってしまい、顔を区別するのが苦手になってしまう。

自分の生活空間で目にする機会の少ない外国人は、認識が遅れる傾向にあるという研究結果もある。

では、なぜ、同じ人種であっても、年をとると、若い人の顔の区別がつかなくなるのか?

年をとると、つきあう人が同じ年齢層になってくる。つまり、若い人の顔を見る機会が激減してしまう。

顔の認識空間

年をとると、先ほどの顔の認識空間の中心に、日常で接することの多い、同じ年齢層の顔が集中。

中心から離れた所には、普段接することの少ない若者の顔が分布。

年を取ると、脳の中では若い人の顔というのは、外国人の顔と同じように見えてしまい、区別がつかなくなってしまう。