なぜ宇宙ステーションで体が浮くのか?という話がありました。
これについて、松岡均さん(日本科学未来館 科学コミュニケーション専門主任)が説明していました。
その理由は、地球に落ち続けているから。
無重力だから体が浮いているわけではない。
よく無重力というが、宇宙ステーションが飛んでいる高さ400kmぐらいは、地上と比べて10%ほどしか重力は小さくなっていない。
実際、地球の重力は地球から離れるほど弱まる。
しかし、宇宙ステーションは、地球の近くを飛んでいるので、地球とそれほど変わらない重力がある。
では、なぜ体が浮くのか?
遊園地のフリーフォールに乗ると、わかる。
落下する時、体は座席から、わずかに浮いている。
その状態がずっと持続しているのが、宇宙ステーション。
宇宙ステーションは、中の人と一緒に落ちているのがポイント。
物がおちているときは、重力を感じていない状態。
つまり、無重量状態になっている。
急降下中の飛行機の中で、物の重さがどう変化するのかという実験があった。
この実験で、急降下時に、無重量状態にできる。
急降下の前に、一旦急上昇するため、リンゴの重さは普段の3倍の約1200gになった。
そして、ここから 一気に急降下。
すると、飛行機と一緒に、はかりとリンゴが落下しているため、
2つは無重量状態になり、リンゴははかりに乗らず、重さを計測できなくなった。
NASAの訓練映像でも、似たようなことが起きている。
急降下中は無重量状態で浮き、
下降をやめると床に落ちた。
しかし、ここである疑問が・・・。
宇宙ステーションは、落ちて落ち続けていないのでは?
これは、遊園地のジェットコースターに乗るとわかる。
フリーフォールの場合は、真下に落下していたが、
ジェットコースターの場合は、横方向にも移動している。
実は、宇宙ステーションは、1秒間に、約5m落下している。
しかし、同時に、横に約8km移動している。
つまり、1秒後に5m落下しても、横に8km進んでいるので、丸い地球との距離は変わらない。
落下と水平移動を続けているので、地上に落下せずに、地球の周りを回り続けている。
宇宙ステーションの中にいる人も、一緒に落ち続けているので、体が浮いているように見える。