ラップがくっつくのはなぜ?という話がありました。
これについて、ラップ製造会社の大森麻希子さんが説明していました。
ラップがくっつく理由は、真っ平らで柔らかいから。
理由1「真っ平ら」
一見、平らに見えるポリ袋。
この表面を500倍に拡大してみると、繊維が重なり合いデコボコしている。
それに比べて、ラップの表面は、真っ平ら。
では、なぜ真っ平らだと、くっつくのか?
「ファンデルワールス力」が強く働くから。
ファンデルワールス力とは?
この世のあらゆるものには、ものすごく近づくと、
物質を構成している分子と分子が、引っ張り合うという習性。
しかし、この世の多くのものは、表面がデコボコしているため、分子と分子が近づくことができず、ファンデルワールス力は働かない。
これは以前、「接着剤はなぜくっつくのか?」という話でも出てきた。
接着剤は、物体と物体の隙間を接着剤が埋めて、ファンデルワールス力を生み出しくっつけている。
一方、ラップの場合は、真っ平らであるからこそ、接着剤が必要な場合のような隙間がそもそもなく、食器に限りなく近づくことができるので、ファンデルワールス力が働き、くっつく力が生み出される。
理由2「柔らかい」
ラップがくっつく、もう一つの理由が柔らかいこと。
ラップは薄くて、柔らかいので、いろいろな形のものに密着することができる。
その時、ラップが密着した内側と外側で、大気圧に差が起きる。
「大気圧」とは、空気が物を押す力のこと。
この力の大きさは、その空間にある空気の量によって変わる。
例えば、ポテトチップスを標高の高い所に持っていくと、パンパンになる。
これは、空気の量が多い場所で袋を閉じ、
空気の量が少ない標高の高い場所へ持っていくと、袋の外よりも中の方が大気圧が大きくなって、中から外に向かって押す力が働くから。
ラップと食器の間では、逆のことが起きている。
ラップには、どちらの面にも同じ大きさの大気圧が働いている。
しかし、ラップを食器にかけると、密着する部分の空気が追い出され、わずかな隙間は空気が少ない状態になる。
すると、空気がたくさんある外側からの大気圧が大きくなり、ラップは食器に押しつけられてくっつく。
このように、ラップは「真っ平ら」で「柔らかい」からこそ、
「分子が引き合う力」と「大気圧に押される力」の影響を大きく受けて、食器などに、くっつく。