なぜ子どもは走り回るのか?:チコちゃんに叱られる!【2022/06/03】

なぜ子どもは走り回るのか?という話がありました。

これについて、子どもの発達と心理について詳しい 山下直樹 先生(名古屋短期大学 保育科 教授)が説明していました。

子どもは、「早く育ちたい!」という欲求から、とにかく走り回ってしまう。

なぜ、この欲求が生まれるのか?

子どもは、感覚が未成熟だから。

子どもは、大人よりも感覚が発達していない状態で生まれてくる。

例えば、視覚。

生まれたばかりの時は、視力が約0.02ほどで、色の見分けはほぼつかない。

また味覚は、甘味・うま味・塩味を好み、酸味や苦味をおいしいと感じるまでには、経験が必要だと言われている。

こういった未成熟は感覚は、適切な刺激を与えて、関係するその部位を働かせることで成長する。

ミルクから離乳食に変わることで、いろんな味を覚えたり、

だっこして、話しかけたりすることで、触覚や聴覚を刺激したり、

体の機能や部位を使うことで、感覚が育つ。

しかし、子どもは成長していくにつれ、与えられるだけではもの足りず、自分から刺激を求めるようになる。

「早く大人と同じように育ちたい!だからもっと刺激をくれ!」となる。

そうすると、自分からいろんな動きをするようになってくる。

その 一つが「走る」。

子どもは、約8か月ごろからハイハイやつかまり立ち、1歳前後でひとり歩きや方向転換、

そして、1歳半ごろから走るようになると言われている。

こうした動きは、主に、運動感覚と平衡感覚と呼ばれるものを育てる。

運動感覚とは・・・筋肉や関節のコントロール、自分の体の大きさや手足の位置などを知る。

平衡感覚とは・・・体の傾きや前後左右上下回転などの動きを感じる。

さまざまな動きをして、この2つの感覚が育っていくと、子どもはより複雑な動きができるようになっていく。

しかし、感覚が未成熟のうちは、体をうまくコントロールできない。

なので、早くコントロールできるようになるために、

「もっとスピード出るかな?」「こんな走り方できるかな?」なんていう感じで、より強い刺激を求めて走り回る。

このように、「早く育ちたい!」という欲求は、運動感覚や平衡感覚を身につけようとする本能。

それが、子どもたちを走り回らせている。

具体的に、走るメリットは?

・地面を蹴るので、歩く時よりも筋肉や骨への刺激が強い。
・蹴って前に進むので、着地する時のバランスも必要になる。
・足の裏から伝わる地面の感覚やスピードと距離の感覚が育つ。

などがある。