なぜ指パッチンすると大きな音が出るのか?:チコちゃんに叱られる!【2022/09/09】

歌を歌ったり、ダンスを踊ったりする時に、指をパチンと鳴らして、リズムをとることがある。

なぜ指パッチンすると大きな音が出るのか?

これについて、音について研究をしている及川靖広 先生(早稲田大学 基幹理工学部 教授)が説明していました。

指パッチンの音というのは、親指と中指の指先で鳴っていると思っている人もいるかもしれないが、

指パッチンは、親指の付け根に中指があたって生まれる音。

音が空気中に伝わる様子を映像化できる「偏光高速度干渉計」を使って見てみる。

カスタネットを鳴らしてみると、2枚の板が近づき、音が強いと赤く表示される。

板が当たった所から強い音が出ているのがわかる。

指パッチンで、指を鳴らしてみると、

親指の付け根に中指があたって、強い音が出ているのがわかる。

2021年、アメリカのジョージア工科大学の研究により、指パッチンで大きな音が出る理由がわかった。

中指が親指の付け根をめちゃくちゃ速くたたいていること。

その速さは、7800度毎秒。

これがどれくらいの速さかというと、

指パッチンをした時に、中指の動きは、円の一部を描くように回転運動になる。

この円を描く動きで親指の付け根に当たらなかった場合、

中指は1秒間に、約21回転することが分かった。

この驚異的なスピードをつくっているのが、指先のやわらかさが生み出す摩擦。

摩擦があることによって、親指と中指にタメがつくられ、

それを 一気に開放することで、驚くべき速さを生み出している。

指パッチンの時間が、0.007秒ということも分かった。

ジョージア工科大学によると、この中指の動きは、人間にできる最速の回転運動だといわれている。

これは、プロ野球のピッチャーの腕の振りと同じ速さ。

つまり、中指と親指の摩擦によって、中指が人類が作り出せる最速のスピードになり、

親指の付け根にあたることで、指パッチンの大きな音が生まれている。

さらに、その音が、薬指と小指の空間で共鳴して、より大きくなっている。

そして、もうひとつ指パッチンの音を大きくしている理由が、「周囲の反射」。

私たちの周りには、天井や棚など、音をはね返す さまざまなものが存在する。

指パッチンの音が、複数箇所からはね返り、いくつにも重なって聞こえるので、耳には大きく聞こえる。

試しに、音の反射がない無教室を使って計測してみると、

反射がない場所に比べて、反射がある場所では1.5倍近く大きく聞こえている。

※ちなみに、音を映像化するのに使った「偏光高速度干渉計」は、
世界に1台、早稲田大学の及川先生の研究室にしかないという。