なぜ大人は座った時に足を組むのか?という話がありました。
これについて、オリンピック選手のスポーツリハビリにも取り組む、蒲田和芳 先生(大阪産業大学 非常勤講師)が説明していました。
大人が足を組むのは、股関節の筋肉が癒着して(=くっついて)いるからだと考えられる。
「股関節」とは、足と骨盤をつなげている関節。
そんな股関節には、中臀筋(ちゅうでんきん)と言われる三角形の筋肉がついている。
足を組む原因は、中臀筋の筋肉がくっついてしまうこと。
しかし、筋肉がくっつくとは、どういうことか?
筋肉は、ファシア(網目状の構造)で包まれている。
ファシアが筋肉にくっついて固まる。
筋肉と筋肉の間には、「ファシア」と呼ばれる組織がある。
例えば、鶏肉の胸肉を買って、胸肉の皮をめくろうとすると、皮と筋肉の間に白っぽい半透明の薄皮みたいなものが見える。
それが、ファシアと思って下さい。
このファシアが伸びたり縮んだりねじ曲がったりする複雑な筋肉の動きをサポートしてくれることで、体がスムーズに動けるようになっている。
しかし、横向きで寝たり、デスクワークで座りっぱなしだったりと、同じ姿勢をとり続ける生活習慣を長年続けていると、
中臀筋のファシアが固まり、筋肉同士がくっついてしまうことがある。
すると、その周りのファシアが引っ張られて、緊張した状態になる。
筋肉の 一定の場所ばかり緊張していると、それを位置を変えたくなる。
緊張し続ける不快感をなくすため、足を組んで緊張する部分を変える。
中臀筋の太もも側のファシアが緊張している場合、足を組むことでお尻側のファシアが伸び、新たな緊張を生み出す。
つまり、筋肉が緊張して感じていた不快感を足を組むことで、別の場所を緊張させ、もともとの不快感を忘れてしまおうとする。
これが足を組むメカニズムではないかと先生はいう。
足を組むクセをやめたい人は、ストレッチをするとよい。
股関節の外側を伸ばすストレッチを1日何回もやって下さい。
元プロ野球のイチロー選手が練習前に、毎日のように90分、120分と長い時間ストレッチに費やしていた。
これは、昨日と同じファシアの可動性を取り戻すためではないかと考えられる。