リボンってなに?という話がありました。
これについて、洋服の歴史を研究する内村理奈先生(日本女子大学 家政学部 教授)が説明していました。
「リボン」というと、女性が身につけるアイテムだと思われがちだが、
かつては、むしろ、男性が好んで身につけていた。
そもそも、リボンは「蝶結び状」のものと思いがちだが、もともとは、「ひも状」のものをリボンと呼ぶ。
当時は、袖など衣服の境目、服のパーツとパーツを結ぶ、実用的なひもとして使われていた。
しかし、このリボンには、男性にとって大きな意味があった。
中世のヨーロッパでは、「馬上やり試合」という、甲冑を身に着けて、馬に乗った騎士たちが 一騎打ちをする試合があった。
その時に、妻や恋人からもらった衣服の一部やリボンを武器につけて参加した。
女性の愛をリボンに感じながら戦いに挑んだ。
だんだん、馬上やり試合自体は、命の危険から廃止。
代わりに17世紀くらいになると、自分の好きな女性が身につけている色と同じ色のリボンを男性が身につけるようになる。
その当時のファッションがこちら。
腰には結んだリボン、そして、ひざと足元にはループ状にしたリボンと結んだリボンを飾り付けている。
こうして、リボンを身につけるファッションが、男性の間で定着すると、17世紀後半に大流行した。
当時、フランス国王だったルイ14世のファッションを見ると、これでもかと言わんばかりに、全身にリボンをつけている。
こうして、女性にモテたい男性のアイテムとして、フランスを中心にヨーロッパで大人気となったリボンだが、
18世紀末にフランス革命が起きると、貴族階級は崩壊。
リボンで派手に着飾った男性貴族の服装は終わりを迎え、代わりに一般市民のシンプルな服装が人気を集める。
では、なぜリボンは女性のファッションアイテムになったのか?
自分の財力や社会的地位などを見せびらかすために、自分ではなく自分の奥さんや子ども娘を着飾ることに意識を向けるようになっていく。
リボンは女性にモテるアイテムとして、男性に大流行したが、貴族ファッションが衰退したことで、女性を華やかに見せるアイテムに変わった。