野球の監督だけがユニフォームを着るのはなぜ?:チコちゃんに叱られる!【2023/03/31】

野球の監督だけが、ユニフォームを着るのはなぜ?という話がありました。


これについて、野球の歴史に詳しい 鈴村裕輔先生(名城大学 外国語学部 准教授)が説明していました。

野球の監督が、ユニフォームを着ているというのは、

野球が誕生した当初、監督も選手として試合に出ていたから。

野球の前身である「タウン・ボール」という球技があって、その名残が現在まで残っている。

タウン・ボールとはどんな球技なのか?

塁と塁を結ぶ辺の中央に、バッターボックスがあり、ヒットを打つと1塁へ。

そのランナーが2塁、3塁と進み

4塁に到着すると1点が入るという、現在の野球とほぼ同じルール。

1840年代のニューヨークでは、消防団員の結束力を強めるためにも、行われてきた。

それが、やがて、他の町の人たちにも普及していった。

こうして、瞬く間にアメリカ中に広まり、競技人口が増えていった。

町を越え初めて会う人とも試合が行われた。

知らないチームと対戦するとなると、初めて会う者同士なので、挨拶をしないといけない。

あるいは、自分たちのチームを代表して意見をする。

そういった存在が必要になってきた。

そこで、登場したのが現在で言うところの監督に相当する役割の人。

選手の代表者が監督を任されることになった。

ただ、監督といっても、一旦試合が始まれば、自分もユニフォームを着て実際に試合に出場する。

監督は、試合の中では選手であり、選手が監督の役割を果たしていくことが、当時のタウン・ボールの日常的な光景だった。

そのタウン・ボールは、1850年代後半から、「ベースボール」と呼ばれるようになった。

さらに、その後、プロの野球チームが誕生すると、プロチームの監督が行うべきことは増えていく。

そうなってくると、選手をしながらの監督は難しくなってきた。

指示だけを出す専門職としての監督というものが、求められてきた。

そういった背景があり、昔のタウン・ボール時代の名残で、監督は、今でも、ユニフォームを着るようになっている。

一方で、メジャーリーグの公式ルールブックには、「監督がユニフォームを着なければならない」ということはひと言も書かれていない。

ユニフォームの着用が義務づけられているのは選手だけ。

厳密に規則を適用すれば、監督はどんな服装でもかまわない。

しかし、実際には、ユニフォームを着ていない監督はほとんどいない。

過去に、フィラデルフィアアスレチックスの監督だった「コニー・マック」は、スーツを着て指揮をとっていた。


ユニフォームを着るのはフィールドに立つ選手に限るべきだという彼の信念に基づいてスーツ姿で監督として活躍し続けた。

ちなみに、WBCのような国際的な試合でも監督がスーツを着ても全く問題ない。