工事中のビルのテッペンに、クレーンがのっている。
でも、ビルがどんどん高くなっても、上にのったクレーンは、そのまま上にある。
これはなぜか?
これについて、建設会社で建物の施工計画を担当している方が説明していました。
クレーンがじっとテッペンに居続けられるのは、自分でよじ登っていくから。
私たちが高層ビルの建設現場などで、よく見るクレーンは、一般に「タワークレーン」と呼ばれ、
建物を建てるために必要な材料や機械などを地上から持ち上げることに使われている。
高いビルをつくる時は、まず、タワークレーンを組み立てる。
そこから、タワークレーンが作業できる高さ、大体30mから40mの高さまで、ビルをつくる。
ビルの構造にもよるが、大体7階分の高さまで、クレーンの周りだけを空けてつくる。
クレーン本体を少し下げて、最上階に固定されたら、
クレーンの柱であるマストを少しずつ引き上げる。
こうしてクレーンの土台が最上階の下のフロアまでたどりついた所で、クレーンの土台を固定。
その後、本体部分がマストが伸びた分、上昇していく。
この伸びた部分のスペースに、次の7階分の建物を作る。
このように、建物をつくっては上がる、つくっては上がるということを繰り返すと、
クレーンは、どんなに高い建物でも、上がっていくことができる。(しゃくとり虫みたいに)
この方式を「フロアクライミング方式」と呼ぶ。
これに対して、マストを継ぎ足していくことで、タワークレーンを上にあげていく「マストクライミング方式」という方法もある。
場所に合わせて、方式を変えることで、ビルが出来上がっていく。
では、クレーンを下ろす時は、どうするのか?
クレーンを解体するためのクレーンを新たに組み立てる。
大きいクレーンの横に中型クレーンをつくり、
中型クレーンが大きいクレーンを解体して、地面に下ろす。
そして、中型クレーンの横に、さらに一回り小さな小型クレーンをつくり、
中型クレーンを解体して地面に下ろす。
最後に小型クレーンを人が解体し、
台車で運び、エレベーターで屋上から下ろす。