なぜ人の家のニオイは気になる?という話がありました。
これについて、ニオイに関する心理学や脳科学について研究する、
坂井信之 先生(東北大学大学院 文学研究科 心理学研究室 教授)が説明していました。
自分の家ではニオイを感じないのに、人の家だとニオイが気になるのは、
人間が生き延びるために重要。
例えば、食べ物からいいニオイがした時、私たちは「おいしそう」「食べたい」と感じる。
一方、腐ったようなニオイがすると、「まずそう」「食べたらおなかをこわす」などと、
人間は、そのニオイをかいだ時、それが、自分にとって安全なものなのか、危険なものなのかを瞬時に判断。
そして、そのニオイが安全なものと分かると、「なれ」が生まれ、ニオイを感じにくくなる。
もし、安全だと分かったニオイに、いちいち気を取られていると、他に危険を知らせるニオイが出てきた時に、
すぐに対応できなくなってしまう。
だから、安全なニオイに対しては、その反応自体をなくしてしまう。
これが「なれ」。
自分の家は、生活していても特に危険なことは起こらないと分かっているので、
ニオイになれ、気にならなくなる。
それが、他の人の家に行くと、「もしかしたら、危険かもしれない」という本能が働き、
ニオイが気になってしまう。
しかし、友達の家など、最初はニオイが気になっても、
安全な経験を重ねて、安全だとわかると、ものの5分ほどで、気になるニオイは感じなくなる。
ただし、例えば、その友達のことがあまり好きではないとか、
自分の苦手なもののニオイがしてるとか、
不快感を感じるような場合には、いつまでも、ニオイが気になるということがある。
ちなみに、家のニオイは、
主に、住人の汗や体臭、玄関の靴、台所などの水回り、ペットなどのニオイが複合的に混ざり合って出来ている。