なぜホワイトボードに書いた文字は消える?:チコちゃんに叱られる!【2024/01/19】

なぜホワイトボードに書いた文字は消えるのか?という話がありました。

これについて、大手筆記具メーカーで研究・開発を担当する浅田勝久さん(品質管理部 課長)が説明していました。

ホワイトボードは、約60年前アメリカで誕生した。

日本では、明治以降、主に、学校などの教育現場やオフィスでは、黒板とチョークが使われていた。

そんな中、1966年(昭和41年)に、画期的な筆記システムとして登場したホワイトボード。

ペンで書いた文字が消える、手がチョークの粉で汚れない、など日本でも注目された。

しかし、最初に販売されたホワイトボードは、話題になったものの、評判はあまり良くなかった。

発売当初のホワイトボードは、クレームが続出。

最初のマーカーに使われたインクは、現在のものと成分が違い、書いた文字がちゃんと消えなかった。

そのため、開発者たちは、取引先へバケツと雑巾を持って出向き、謝罪しながら拭き取るといった苦労もあった。

その後、最初の発売から8年かけて現在のインクに改良。

油性マーカーのインクは、溶剤と呼ばれる「アルコール」、色の元になる「着色剤」、書かれたものを固定する「特殊樹脂」、この3種類の成分から出来ている。

これを均一に混ぜ合わせることで、拭いても消えないインクになる。

これを容器に入れると、油性マーカーとして使えるようになる。

しかし、このマーカーで、ホワイトボードに文字を書いて、拭いて消そうとすると消えない。

ボードに、油性マーカーで文字を書くと、約10秒後にアルコールが蒸発。

すると、残った特殊樹脂が接着剤として働くため、着色剤はボードの表面にくっつき、拭いても消えなくなる。

一方、ホワイトボードに使うマーカーの場合、先ほどの3つの成分に、「剥離剤」を加える。

剥離剤とは、油の一種で、建物の壁に塗ってある塗料を剥がす時や、化粧落としなどに使われる液体。

剥離剤と特殊樹脂は相性が悪く、互いに反発しあう。

そのため、アルコールが蒸発してなくなると、

一緒にいられなくなるので、剥離剤は特殊樹脂に押し出されるように、外側へとにじみ出していく。

さらに、液体である剥離剤は、外側へと押し出された後、着色剤とくっついた特殊樹脂を包み込む。

この時、文字が板面に直接くっついているように見えるが、板面と文字の間には、剥離剤の膜があるため、文字は浮いている状態。

これをボード消しでこすると、

剥離剤ごと、文字の部分も一緒に拭き取られるため消える、という仕組み。

ちなみに・・・、

ホワイトボードに間違って油性マーカーで書いて消えなくなってしまった場合、

ホワイトボードのマーカーで文字を上からなぞってから拭くと、消える。