道端でよくアリの行列を見かけます。
この行列はいったいどうやって作られているのでしょうか?
その正体は、「道しるべフェロモン」。
アリは巣を出ると、地面に道しるべフェロモンを残しながら、エサを探す。
運良くエサを見つけたアリは、自分が残した道しるべフェロモンを頼りに、エサの一部を巣へと持ち帰るが、この時、通常よりも濃いフェロモンを残す。
すると、近くでフラフラしていたアリたちも、そのフェロモンに気づき、エサへと向かう。
そのアリたちが、また、道しるべフェロモンを残すので、濃度はどんどん濃くなっていき、更に参加するアリが増えていく。
その結果アリの行列ができる。
ここで非常に重要なのは、「道しるべフェロモン」は揮発性なので、ある一定の時間が経つと消えてしまうということ。
これには、他の生物に自分たちの居場所がバレるのを防ぐということや、
ずっとフェロモンが残っていると、どれが正解かわからなくなってしまうから、
という理由がある。
さらに、驚きのメカニズムがある。
例えば、複数のアリがバラバラのルートでエサを見つけたとすると、
この時、短いルートの道しるべフェロモンは、アリの通る回数が多いため、徐々に濃くなっていく。
反対に遠いルートを利用するアリは少ないため、どんどんフェロモンが薄くなっていく、
つまり、揮発性の道しるべフェロモンを使えば、時間経過とともに最短距離をあぶり出すことができる。
こうしてアリは迷子にならずに、効率よくエサを集めることができる。
ちなみに、ある一匹のアリを別のアリの集団に入れた場合、それぞれ、体の表面に、別の家族の種類のフェロモンが付いているので、ケンカが起こってしまうことがある。
生活のほとんどを地中で過ごすアリは、視覚が発達しておらず、その代わりフェロモンなどの化学物質で情報を伝え合う。
このフェロモンは、人間でいう鼻で感じるのではなく、彼らについている触覚の部分で検知している。
そのフェロモンの数は70種類以上といわれ、用途によって使い分けているそうです。
余談
以前、揮発性のマジックでアリを囲むと、ニオイがきつくてその円の中から出られなくなるという話がありましたが、
あれは、出られないのではなく、アリのフェロモンとマジックのインクに含まれる物質の成分が似ているということがあるため、誘導されているからではないか、と思いました。